――ご自身で結名と似ていると思うところはありますか?
戸松:
マイペースなところは似ていると思います。人の話を聞いているんだか聞いていないんだか、よく分からない感じ……。私自身は、人の話は聞いているんですが、自分の中でいろいろと噛み砕いてから発言するので、言っていることがよく分からないと指摘されることもありますけれども(笑)。でも結名は天然ではなくて、実は頭の回転が速いというか、周りの空気が読めないようで読める子だと思うんです。いろいろな方言でしゃべったりしていますが、それも彼女のスタイルなんですよね。
――結名で印象に残っているシーンやセリフはどこでしょうか。
戸松:
まだ放送前なので詳しくは言えないんですけれども……14、15話です。結名はお金持ちだし、美人だし、自分に自信もある。あまりコンプレックスって感じたことがないと思うんです。でもそれが初めて崩れるんですよ。そのときの余裕の無さというか、素が見える瞬間が彼女も普通の女の子なんだ、と印象的でした。
――キャラクターを演じられていて難しいと感じる部分はありますか?
戸松:
自分の中で思い通りの表現ができない瞬間が時々あるんですが、そこにハマってしまうと本当に抜け出せなくなってしまいます。少し間をおくと冷静になれることもあるのですが、何度もリテイクが出てしまうと、どんどん頭の中が真っ白になってしまって……、何が正解なのか分からなくなってしまうんです。お芝居に正解はないということも分かっているのですが、やはり自分の中で何か掴めない瞬間があると、もどかしくもあり悔しくもあります。
でも、結名に関してはあまりハマらずにできています。実は地元の友達に性格や雰囲気が結名に似ている子がいて、その子をイメージしながら演じているんですよ。一見すると不思議な結名の言動や行動も、なんとなく分かるんですよね。それこそ緒花が「え、えっと……」と困ってしまうような行動も、私の中では“アリ”だったりするので、結名は私の中にすんなり入ってくれます。そういう彼女を演じていて楽しいですね。
――『花咲くいろは』のテーマのひとつが“お仕事”ですが、戸松さんが小さいころなりたかった職業はなんですか?
戸松:
小さい頃はアイスクリーム屋さんになりたかったです(笑)。なぜアイスクリーム屋さんだったのか理由は忘れてしまったのですが、たぶんいろいろなアイスクリームを作ってみたかったからだと思います。学生時代は、校則でアルバイトが禁止だったというのと、高校生から今のお仕事に就いたのでアルバイト経験がないんです。でも今、大学生になってアルバイトをしている友達の話を聞いているとすごく面白そうなんですよね。だから一度はアルバイトをしてみたいなって。それこそアイスクリーム屋さんで(笑)。
――声優を目指されたきっかけは何だったのでしょう。
戸松:
中学、高校時代から人前に立つことや人を笑わせることが好きで、お芝居がしたいという気持ちがありました。でもどうしたらそういう世界に入れるのか分からなくて。そんなとき母親が今の事務所のオーディションに応募したらと、勧めてくれたんです。
――声に自信があったのですか?
戸松:
全然そんなことはなくて、逆に私の中で声優さんは、特徴のある声じゃないとダメだと思っていたぐらい。それこそ声を作る練習もしたことがなかったんです。でも今の事務所は声のお仕事だけではなく、歌をはじめいろいろなジャンルにも挑戦できるということだったので、私でも大丈夫かなってオーディションを受けてみることにしたんです。あと声に特徴があればそれは長所にはなると思いますが、やっぱり演じることが大切なんですよね。この世界に入って、先輩をはじめ、いろいろな方の演技を目の前で見ることができるので、それがとても勉強になっています。
――役を演じられる上で心がけていることは何でしょうか?
戸松:
心がけというのとはちょっと違いますが、まず台本や資料を読んでキャラクターの性格を把握します。それから自分の頭の中でこのキャラクターはこういう声で、こういうしゃべり方をするんだろうなとイメージするんです。その脳内ボイスでシーンに合わせてアフレコする感じですね。ただ明確にキャラクターを作ろうというのではなく、あくまでイメージを大切にしています。
――お仕事でやりがいを感じる瞬間は?
戸松:
やっぱり出演した作品の感想を聞いたときですね。『花咲くいろは』は家族はもちろん周りの友達、それに同じ業界の方など、見てくださっている人が本当に多くて。その方たちから感想を直に聞いたときに、こんなに見てもらっているんだと実感が湧きますし、「すごく良かったよ」とか「続きが気になるね」という意見をもらえると、楽しく見てもらっているんだと嬉しくなります。
――そんなお仕事で疲れるときもあると思いますが、どんなことをしてリフレッシュしていますか?
戸松:
最近だとマッサージに行きますね、前は足裏マッサージだけだったんですけれども、一度、全身マッサージを体験してしまうともう戻れなくなってしまって(笑)。私アフレコのとき変なところに力が入ってしまっているのか、仕事が終わると肩や腰などいろいろな所がカチカチになってしまうんです。疲れが溜まっているなと感じたときは、時間をかけて全身オイルマッサージをしてもらいます。そんなに頻繁には行けないので、自分へのご褒美ですね。
――マッサージと言えば、5話でマッサージチェアに座りながら話すシーンありました。
戸松:
実はあれ、声の加工は何もしていなくて、声を震わせながらセリフを言っているのですが、現場で大爆笑されました(笑)。自分でも驚くぐらい上手くできましたね。好評だったのか、マッサージチェアに座りながらセリフを言うシーンがもう1度出てくるんで、見つけてみてください。
――『花咲くいろは』は戸松さんにとって、どんな作品でしょうか?
戸松:
オーディションのとき作品の概要をいただいたのですが、それを読んで、自分の中で何か感じるものがあったんです。それこそこの作品はすごく素敵な作品になるという確信なようなものです。だからこそすごく関わりたいと思った作品であり、結名を演じられて本当に幸せだと思っています。
あとアフレコ現場ではキャストのみなさんはもちろん、スタッフさんも含め仲がいいんです。性別や年齢は関係なく、コミュニケーションが取れるのはすごくいい現場だなって。それにみんなでいい作品を作ろうという気持ちがアフレコをしていても伝わってきますし、そんな作品に自分が関われるということはすごく誇らしいことだと思います。
――それでは最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
戸松:
ちょうど14、15話が放送される頃だと思うのですが、その話数を見てもらったあと、きっと結名への印象が変わると思うんです。そして今後も結名だけではなく、緒花やみんちやなこちをはじめ、いろいろなキャラクターが活躍して、みんなが少しずつ変わっていく様子が見られると思います。そういう人間模様を含め、この作品を楽しみに見ていただければと思います。