――浜口さんがよく聴く音楽のジャンルは?
浜口:
一番聴くのはクラシックです。でもそれだけだと偏ってしまうので、比較的なんでも聴くようにしています。ただJ-POPはあまり聞かないですね。昔カラオケの仕事をしていた頃は、演歌を含めて毎月50曲ぐらいの新曲を全部聴いて、歌えたのですが(笑)。
――ジャンルによって曲作りのやり方を変えられることもあるのですか?
浜口:
そうですね。ゲームの場合は編曲が中心で、ムービーとかエンドロールの音楽を担当することが多いんですが、とにかく曲が長い。5分の曲などもざらにあります。逆にアニメは短い曲が多く、5分の曲などはあまりないんです。また作品によって求められることも違いますから、そのつど頭を切り替えます。あとアニメの場合、最終的にどのシーンで曲が使われるかは、映像が完成するまで分からないので、ひとつの曲の中に大きな起伏をつけず、複数のシーンで使われても違和感がないよう、ある程度汎用性を持たせた曲作りをしますね。
――劇場作品の場合はまた違うのでしょうか?
浜口:
劇場の場合は曲が使われるシーンが分かっていますので、盛り上げる場所は思いっきり盛り上げますし、タイミングを少し遅らせて印象付けるなど、物語とは別に、音楽のストーリーをこちらで考える余地があるんです。
――音楽のお仕事をしていて、手応えを感じる瞬間はどういうときでしょうか。
浜口:
劇伴の仕事というのは、アニメや実写など作品があってこその音楽なのですが、時々音楽がひとり歩きしてくれることがあるんです。例えば自分の曲を誰かが耳コピして、ピアノで弾いてくれるとか……、この前も高校のブラスバンド部の生徒さんから、僕の曲を文化祭で演奏したいので、楽譜が売っている場所を教えてくださいという手紙をいただいたんです。劇伴の楽譜は売ることはあまりないですから、その時はブラスバンド用の譜面ではないけれど、自分の作った楽譜をお送りしました。そういったことは本当に稀なんですが、音楽にもちゃんと注目してくれる人がいて、なおかつ自分で弾いてくれる。それが実感できるときが一番嬉しいですね。
――浜口さんにとって『花咲くいろは』はどんな作品でしょうか?
浜口:
最初にも言ったのですが、今回は今までの自分の曲からすると、いろいろなものをそぎ落として作りました。アニメの音楽ってもっと多くのことをやるというイメージがあったのですが、そうじゃなくてもいいんだと気付かせてくれた作品です。デフォルメした表現をやめ、楽器や手数を少なくしたときに、自分は何ができるのかということが発見できたのかなと思います。
――それでは最後にファンの方へメッセージお願いします。
浜口:
実はまだ金沢には行ったことがないんです。北陸には高校時代、修学旅行で富山に行ったぐらい。だからスケジュールが合えば10月9日のぼんぼり祭には行きたいと思っていますので、ファンの方と一緒に楽しめたらいいなと。あと本編は最終話に向けて盛り上がっていますが、実は曲を作ったときには、最終話の台本がまだ完成していなくて、どうなるのか知らないんですよ(笑)。ここまできたらグッと我慢をして、放送を心待ちにしていますので、皆さんと一緒になって楽しみたいですね。